粉引き

粉引き コヒキ 長方皿

 

李朝(李氏朝鮮)時代の陶器を愛してやまない清水さん

「粉引き」はその代表的技法とも言えます

 

粉引き丸皿

 

「粉引き」とは

鉄分が多く、焼くと赤・茶系になる素地土の上に

白土の泥を掛け(「化粧掛け」)

透明釉を掛けて焼いたもの

 

 

粉引き御本 ゴホン 小丼

 

「御本」は、粉引きの中でも

赤みのある斑点のようなものが出たもの

素地土と化粧土の関係や

焼く時の窯内の環境(酸素の量により、酸化・還元)により

現れるようです

もともと 茶道の世界で

「御本茶碗」と珍重されたそうです

 

「粉引き」と言っても

素地土・化粧土・釉薬のバランスによって

表情はかなり変わります

原土(掘り出したままの土)も使い

土味を大切にする清水さんです

 

会期中の土日午後は在廊してくださいます

*清水一博さん紹介(2016年に取材)

 

 

 

最終日

炭化抹茶碗

「炭化」窯の中にレンガで囲いをし、炭を入れていぶすように焼く

 

 

緋だすき茶香炉

「緋だすき」植田さんはほどいた古畳に水をつけて巻くので細め

備前では藁を使うことが多いですが

「茶香炉」焙じる香りを楽しみ、焙じたてのほうじ茶も味わえます

 

白糠釉長板皿

 

炭化スープカップ

あったかスープの恋しい季節ですね

 

炭化一輪差し

形も遊んで

 

最終日12/17(日)午後 植田さん在廊です

 

11:30頃までギャラリーロード全面通行止め

「かさま陶芸の里ハーフマラソン大会」のため

長かった道路拡張工事も間に合いました

 

※ 12/26(火)~1/2(火)年末年始のお休みいただきます

 

植田昌子さん

     

 

  植田さんは神奈川出身。
シャガール・ローランサンなど、きれいな色・自然の色が好きで、

短大では油絵科。卒業後、陶芸教室に通い始めました。
笠間陶炎祭(ひまつり)を見に行って笠間と縁ができ、
窯元(大津晃窯)で陶芸体験のお手伝いなどしながら、

2年間学びました。
その後、落合杜寿子氏(益子)に師事。
自然の中で暮らし、薪窯で制作する師匠のもとでの2年間の修業は、
植田さんの原点となりました。

 


  

  2005年に、常陸大宮市の築150年の古民家に住み、築窯独立。
注文家具を手掛ける木工職人だったお父様は、

蹴ロクロ・タタラ板など作ってくれたそうです。
山の中の、古くて大きな家での一人暮らしからのスタートでした。
  料理を引き立てる「食器」と、

手に任せて勢いで作り上げる「花器」。
窯の中に炭を入れ、いぶすように焼く「炭化」
素朴な味わいのある「粗めの土」に、

「松灰釉」「糠釉」などの自然な釉薬を。
女性にしては大胆で大きめの花器は、花好きの植田さんならでは。
控えめなお人柄ながら、骨太の芯の強さもあり、頼もしい限りです。
8歳・5歳のお子さんの子育てもしながら、
陶器市(益子)と展示会中心に制作している植田さんです。

花いっぱい

炭化花入れ  ドウダンツツジ・ビワ・小菊

 

花の好きな植田さん

ご自宅の庭から花材をたくさん持ってきてくれました

いつも生け方も教わっている

「野の花塾」さんからの花材も合わせて

店内は 花いっぱい

 

糠釉 ヌカユウ 花入れ  ドウダンツツジ

 

炭化花入れ  野バラ・クチナシ

 

糠釉長皿                 (福島に嫁ぎました)

 

花入れも含めて

大きめで大胆な作品も作るのは

女性作家では多くないかもしれません

 

土味のある普段使いの食器もいろいろ

会期中の土日(午後)は在廊してくださいます

 

小山義則さん

            

 高校時代から歴史が好きだった小山さんは、

日本文化の芽生えの時期ともいえる「東山文化」に特に関心があったそうです。 

中でも、茶道の世界からやきものに興味を持つようになりました。

 1980年、焼き締めの産地で修業しようとしたところ、

偶然、伊賀の小島憲二氏に出会い、弟子入り。

(伊賀の丸柱(まるばしら)ー昔は琵琶湖の底だったことから、

やきもの向きの粘土層の土、特に耐火度の高い木節(きぶし)粘土が採れ、土鍋の産地)

師匠は、当時、伊賀最大の窯元長谷(ながたに)製陶の商品開発を手掛けていました。(「かまどさん」で知られる炊飯土鍋の窯元)

師匠がデザインした商品を試作したり、薪窯での個人作家活動の手伝いもしました。

自分にも人にも厳しい師匠に、褒められたことはありませんでしたが、

その作品に惚れこみ、ただただついていったといいます。

土作り・窯・薪のことなど、やきものに必要なこと・技術的・精神的なこと、ほとんど修業中に学びました。

 7年の修業後、笠間で独立。

ひまつり初参加は1992年(第8回)、芸術の村での最後の開催の年。

師匠に紹介された器の店との付き合いも始まり、都内で展示会もするようになりました。

 2011年の震災以降は、本当に作りたいものを作りことにしました。

まだまだ作りたいものがあるそうです。

現在は、青瓷釉や灰釉の研究・試作と、原点である伊賀の土での作陶に集中しています。

若い作家の方へ「ある時期は、一つのことに固まらないで、”数を作り倒す”と見えてくるものがある」

好きな言葉「こころ 美しければ」(書家 川又南岳 筆)

来年築釉30年を迎える小山さんの”現在地”作品800点あまり、

ぜひ、じっくりゆっくり味わっていただけると幸いです。

 (店内ほとんどが小山さんの作品展示、

最終日11/26までに延長しました)