べべら

陶器の口辺に見られる、素地の欠損やたるみのこと。
ロクロでの成形の際、胎土の可塑性や粘度が不適性な場合に現れ、まれに、
胎土へ混入した石粒や木片が陶人の指先に弾かれ起ることもある。
古来、数寄者はこの現象に侘びの風情を感じ取り、特別なものとして珍重。
李氏朝鮮時代の伊羅保茶碗に多く見受けられ、
わが国では、川喜田半泥子や石黒宗麿・鯉江良二などが作品に取り入れた。
「懐が深いし味もいい、しかもこのべべらが趣あるね。」
「この茶碗、べべら口になってておもしろいな。」
(「でじたる陶器大辞典」)
穂髙隆児  朝鮮唐津小皿

作り手・伝え手・使い手
それぞれの価値観により
「べべら」は「おもしろい」のか「不良品」なのか。
人の個性のように、土の個性もあり
手作りで 世の中にひとつしかないモノ
「べべら」の見方で
やきものの味わい方も違うようです

鶴野啓司さん

「舞台」でも作品常設の鶴野啓司さん
パリで個展開催中です
店名は le sentiment des choses「もののあはれ」の意
奥様・娘さんと一緒に渡仏
オープニングレセプションでは
日本から持参の日本酒や
奥様手作りのおつまみで おもてなしされたそうです
https://lesentimentdeschoses.com
焼き締め 片口
手前と奥に3ヶ所「石はぜ」の跡があります
 完成してからの欠けではなく
制作中の欠けをそのまま焼成
掘ったままの「原土」をふるいにかけて 自ら土作り
粗めの土だと石や砂などの「雑味」が混じる
それが 土自体のもつ個性・味わい
土味を大切にする鶴野さんならでは
土と火の力を借りて 人の手が生みだすもの
その力強さ・いとおしさ
使いこむほどに育っていくのが楽しめる
鶴野さんの作品です